新
正倉院をモチーフにしたシリーズは、すかしや彫刻、螺鈿などの伝統工芸の技術の粋と技がひかります。べっ甲生地の模様や色合いは、同じものが二つとありません。希少な原材料に職人の熟練技が施され、世界に一つしかないオリジナル作品が出来上がります。シルクロードの終着点「奈良」に集まった世界の芸術。そこから独自に発展した天平文化とべっ甲細工の出会いは、悠久の価値を創造します。
正倉院風琵琶装身具(しょうそういんふうびわそうしんぐ)
御所車芝山風透し額
(ごしょぐるましばやまふうすかしがく)
技
素材の特長を生かしながら下絵を描き、幾種類もの彫刻刀を駆使しながら下絵に沿って彫る透かし彫りは、技の熟練が必要とされます。池田工房の真骨頂とも言えるこの透かし彫りの技術は、2代目にも継承されています。工芸家として、伝統の中から新しいデザインを生み出す現代的センスが問われます。
天然のべっ甲は、日本女性のしっとりとした黒髪に艶を与えるとして、櫛として愛用されてきました。いつの頃からか、実用的な櫛だけでなく、伝統的な技を使った日用使いの芸術工芸として女性の美しさを引き立てる装飾品に発展しました。
べっ甲の魅力は、独特の暖かい触り心地と、熱で微妙に変形するため使う人の体に寄り添うように変化することです。
下絵に沿って彫る熟練を要する工程を幾種類もの彫刻刀を使って掘ります。熟練の手業を駆使しながらデザインをしていきます。
簪桜花舞(かんざしおうかのまい)
伝
べっ甲はウミガメの一種であるタイマイの甲羅で作られます。その背甲、爪(縁甲)、腹甲の中から、作品にあった生地を選びます。それぞれの部位で色合いや模様が違います。繊細な素材を熱と水と経験による手加減で形にしていきます。現在、タイマイは日本に輸入されておらず、希少な素材のため多くの代替品が作られています。本来のべっ甲は「本べっ甲」と呼ばれ、代替え品と区別されています。
茨布(バラフ)
白べっ甲
黒べっ甲
水もく